一般財団法人 医学物理士認定機構

代表理事挨拶


一般財団法人 医学物理士認定機構
代表理事 山田 章吾

 わが国における医学物理士認定制度の歴史は古く、1987年8月日本医学放射線学会により第1回の認定試験が行われ、70名の医学物理士が認定されています。医学物理士の育成にあたってきたのは日本医学放射線学会および同物理部会であり、物理部会は2000年に日本医学物理学会として日本医学放射線学会から独立し現在に至っています。
 欧米ではわが国の認定に先駆け、すでに医学物理士は社会的に認知され、臨床の現場に深く入り医療機器や技術の開発、治療計画の補助や品質管理などに主体的に関わってきていました。一方、わが国の医学物理士の社会的認知は遅れ、制度上直接臨床に携わることができず、医学物理士の活動の場はもっぱら大学や研究機関あるいは企業などでの研究、教育に限られました。その結果、医学物理士認定数も増加しないという状態が長く続きました。この間、わが国の臨床における医学物理業務の一部を担ってきたのは診療放射線技師でした。こうした診療放射線技師の中で特に物理学的素養を持っている者は医学物理士として認定すべきであるという議論があり、2002年の医学物理士認定規約改正において一定の要件を満たす診療放射線技師に医学物理士の受験資格を与えることとなりました。以後、医学物理士の数は順調に増加し、日本医学放射線学会から自立可能な規模に達しています。そこで、日本医学放射線学会および日本医学物理学会の両理事会の合意を経て、2009年3月をもって医学物理士認定事業は日本医学放射線学会から今般新たに設立された一般財団法人医学物理士認定機構に移管されることとなりました。
 さて、わが国の放射線医療機器あるいは技術の開発をみますと、コンピュータの発達前は回転横断撮影法や超音波あるいは原体照射法などわが国の放射線医療技術は世界に先んじていたと思います。しかし、現在の大型放射線医療機器の大半は欧米からの輸入に頼っています。わが国におけるこうした放射線医療機器開発の遅れは医学物理士の社会的認知の遅れに一因があると思います。さらに、現在の放射線医療機器、技術の進歩はすさまじく、一昔前のように診療の片手間に医学物理の業務を行うことは質、量ともに不可能です。医学物理士が臨床の現場に入り、本来の業務に専念できる社会環境作りが必要であると考えます。
 2006年6月に制定された“がん対策基本法”において放射線療法に携わる医療従事者の育成が盛り込まれ、それを受けた文部科学省の「がんプロフェッショナル養成プラン」では医学物理士の育成を求めています。また、2004年および2008年の診療報酬改訂において定位放射線治療や強度変調放射線治療(IMRT)の施設基準に医学物理士の必要性および業務内容が盛り込まれるなど、わが国においても医学物理士が臨床の場で活躍できる社会的環境が整備されつつあります。こうした社会の流れを後退させてはいけません。
医学物理士を認定、更新する本機構の責任は重大であると考えております。